骨粗しょう症|牧野整形外科|伊丹市にある整形外科、リハビリテーション科

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骨粗しょう症

骨粗しょう症|牧野整形外科|伊丹市にある整形外科、リハビリテーション科

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症とは

骨は常に古い骨が壊されて、新しい骨が作られ、少しずつ置き換わるという新陳代謝を続けています。正常な状態であれば体中の骨は3年から5年程ですべて新しく入れ替わり、古く脆くなった骨は吸収され、新しく形成された、しなやかで強い骨が身体を支えています。この新陳代謝のバランスが崩れ、骨形成が低下したり、骨吸収が必要以上に亢進すると骨粗しょう症が起こってきます。骨粗しょう症になると骨が弱くなるためちょっとした転倒や身体への負担で背骨(圧迫骨折)や手首の骨、大腿の付け根の骨(大腿骨頚部骨折)などが骨折しやすくなります。背骨の圧迫骨折を起こすと強い痛みがあり、更に次の圧迫骨折も起こしやすくなり、腰の曲がりや伸長の低下、慢性的な腰痛の原因となってきます。大腿骨の頸部骨折を起こすと手術や長期間のリハビリが必要となり退院後も思うように動けない場合もあり、寝たきりや介護が必要な生活になってしまうこともあります。そのため骨粗しょう症が進行するまでに予防や、早期診断が重要となります。

骨粗しょう症とホルモン

女性ホルモンは骨の代謝を調節していますが、女性の場合、閉経によって減少すると骨粗しょう症を発症しやすくなります。これを閉経後骨粗しょう症といい、女性に最も多くみられる病態です。このほか、副甲状腺や甲状腺などの内分泌疾患と関係して起こるものもあります。副甲状腺は、副甲状腺ホルモン(PTH)を分泌し、カルシウム濃度と骨代謝を調節しています。PTHは骨を破壊してカルシウム濃度を高めますが、過剰であると骨を破壊し過ぎてしまいます。このPTHが過剰になる副甲状腺機能亢進症は、骨粗しょう症の原因の一つとして知られています。また、過剰な甲状腺ホルモンの作用も、骨密度の低下をもたらすといわれています。

骨粗しょう症の主な原因

骨粗しょう症は骨強度(骨の強さ)が低下して骨折しやすい状態になりますが、この骨強度は、骨量の指標となる「骨密度」と、骨構造などの「骨質」の要因によって決まります。女性の骨量は、成長期に増加し20歳頃に最大骨量に達します。40歳代に入ると卵巣機能が衰え始め骨量が減少し始めます。閉経前後の50歳頃からは女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に低下し、さらに骨量の減少をきたします。エストロゲンは、破骨細胞(古い骨を吸収する細胞)と、骨芽細胞(新しい骨を作る細胞)の両方に作用します。閉経に伴いエストロゲンが欠乏することで、破骨細胞による骨吸収が亢進して、骨量が減少すると考えられています。
また、ダイエットや偏食(カルシウム摂取不足)、運動不足、日光照射不足、喫煙、過度のアルコール摂取などの生活習慣も骨粗しょう症の原因となります。
女性と比較して男性は骨粗しょう症の頻度は少ないですが、前立腺癌などでホルモン 治療を受けられた方や長期に渡ってステロイドの使用歴も有る方は骨粗しょう症が起こっている可能性が高いです。
生涯を通じての骨粗しょう症の予防は、獲得する最大骨量を多くして、骨量減少を最小限にとどめることを基本とし、生活の中で除去できる危険因子を早期に取り除くことといえます。

骨粗しょう症の診断

骨粗しょう症の診断は、骨粗しょう症に特徴的な脆弱性骨折(ご本人が自覚していない骨折)の有無、および骨密度の数値などを参考にして行います。診断がつけば、他の疾患が原因となっていない原発性骨粗しょう症なのか、あるいは疾患が原因となっている続発性骨粗しょう症なのかを鑑別し、その結果をもとに治療方針を検討します。

診察の流れ

1問診
問診では骨粗しょう症に関して質問します。食事や運動、飲酒・喫煙などの生活習慣や、これまでの骨折および病気の既往、骨粗しょう症の原因になりうる薬剤の使用歴、年齢や閉経の時期などをうかがいます。これらは診断するうえで大切な手がかりとなります。
2身体診察
身長と体重、背骨の変形、背部痛の有無などについて確認します。25歳頃の身長と比べてどの程度縮んでいるかということも、診断するうえでの指標になります。
3レントゲン検査
背骨(胸椎や腰椎)のX線写真を撮り、骨折や変形の有無、骨粗しょう化(骨がスカスカな状態になること)の有無を確認します。他の病気と区別するためにも必要な検査です。
4骨密度検査

骨密度は骨の強さを判定するための代表的な指標です。骨密度検査では骨の中にカルシウムなどのミネラルがどの程度あるのかを測定します。

DEXA(デキサ)法(骨密度検査)

波長の異なる2種類のX線を用いてその吸収率の差から、骨密度を測定します。全身のほとんどの骨を測ることができます。当院では腕の骨(橈骨)の骨密度を計測し数値として表します。若い人の骨密度の平均値(young adult mean:YAM)と比較し、自分の骨密度が何%であるかが示されます。YAMが80%以上かつレントゲンで骨粗しょう化がなければ正常と判断します。現在、骨粗しょう症に関して、最も精度が高い検査と考えられています。

5血液検査
骨代謝マーカー(骨の新陳代謝を評価)やビタミンDなどを測定することで、骨密度が今後どのように変化していくかを予想することができ、治療の必要性や治療方針(治療薬の選択)を決めるのに役立ちます。また、骨粗しょう症治療開始後の効果判定にも有用です。

骨粗しょう症は痛みなどの自覚症状がなく、発症し進行するケースがほとんどです。背中や腰に痛みを感じたり、身長が縮んだりといった自覚症状が出た時には、かなり症状が悪化していることがあります。早期の診断と治療がとても重要です。骨密度検査は、骨の健康を知るうえで重要な手がかりとなります。とくに女性は症状が無くても、40歳を過ぎたら定期的な骨密度検査をお勧めします。

薬物療法について

骨粗しょう症はタイプによって治療に用いる薬剤が異なります。閉経後で骨折リスクが高い(骨密度が低い)方は、ビスホスホネート製剤(骨の吸収を抑える薬剤、経口薬と注射があります)などが用いられます。骨折リスクの低い方には、活性型ビタミンD3製剤や選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERMselective estrogen receptor modulator:エストロゲンを補う薬剤)を用いるケースが多いです。また、治療にも関わらず、骨折リスクが高い方は、PTH製剤やヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体など骨形成を促進させる注射製剤が用いられることがあります。最近では、作用機序の違う薬剤の併用療法も骨折リスクを減らすことが分かってきました。患者さまの年齢や病態に応じて治療薬を選択します。

食事

骨密度を増加させるためにはカルシウムの摂取とともに、カルシウムの吸収を促進するビタミンDや、骨へのカルシウムの取り込みを助けるビタミンKなどの栄養素も必要です。エネルギーと栄養素を過不足なく摂取することがポイントになります。

カルシウム 牛乳・乳製品は、カルシウムの含有量が豊富なだけでなく、吸収率もすぐれています。適量の牛乳・乳製品を積極的に摂りましょう。カルシウム摂取量を増やす工夫として、小松菜などの緑黄色野菜、ひじきなどの海藻、豆腐などの大豆製品なども取り入れると良いでしょう。
ビタミンD ビタミンDは骨量を保つうえで重要な栄養素で、食事と日光(紫外線)から体内に供給します。魚類(サケ・サンマ)やきくらげなどの食品を意識して摂りましょう。ビタミンDは日光が皮膚に当たることで活性化します。手や足に1日30分から1時間程度、日光を浴びるだけでも効果が期待できます。
ビタミンK ビタミンKは納豆や海藻類、緑の葉の野菜などに含まれています。これらの食品を毎日の食事にバランスよく取り入れましょう。

運動

運動不足は骨密度を低下させる要因の一つです。適度な運動は骨に圧力がかかり、その刺激が骨の形成を促進します。日常のなかに散歩や階段昇降などの運動を習慣として取り入れましょう。ウォーキングの目安としては、1日8,000歩、週3日以上で骨密度が上昇するという報告があります。また、運動は転倒予防にも重要な役割を担っています。運動不足は筋肉量の低下を起こし、転倒リスクが高まります。転倒は高齢になるにつれて発生頻度が増加しますが、転倒により、大腿骨頚部を骨折してしまうと寝たきりの生活を余儀なくされます。無理のない運動を継続して行い、骨と筋肉の健康を維持していきましょう。